「上級ウェブ解析士」って取得すべき?入社4年目のWEBディレクターが思う上級ウェブ解析士取得のメリット!

みなさん、こんにちわ。

WEBディレクターのZAMAです。


2017年8/26(土)~9/24(日)でウェブ解析士協会が主催する「上級ウェブ解析士」の資格取得を致しましたのでレポート致します。


そもそも「ウェブ解析士」とは?

ウェブ解析士に求められるスキルは、単にアクセス解析だけではありません。

  • WEBサイトの観測すべきKPIの設定
  • 各事業に沿った現状分析、および目標を達成するための計画立案
  • プロジェクトのファシリテーション

など多岐にわたる能力が求められています。

しかし、これまでこれら専門的知識と実践的スキルを習得できる環境と習得した人材を評価する仕組みがありませんでした。


一般社団法人ウェブ解析士協会がこの現状を問題視。

実務で活躍できるウェブ解析士の育成を考え、成果につながるウェブ解析ができる人材を育成するための認定資格を設け、講座や認定試験を実施しました。

内容抜粋:ウェブ解析士協会



なぜ、上級ウェブ解析士を受けようと思ったのか?

クライアントのサイトに対する課題発見は、普段業務で個々の経験値やスキルに基づく「ヒューリスティック評価※1」が一般的です。

しかし、ヒューリスティック評価では、ユーザービリティ(使いやすさ)やUI(操作画面)の設計に対する課題しか発見できず、サイトの回遊性やCV(企業やサイトの目標に対する達成数)に関するユーザーの動きに関して調査するには限界がありました。

従来では、ディレクター主体の「ヒューリスティック評価」からの課題抽出で❝よし❞とされていました。

しかし、WEBサイトとは生き物で日々、技術やデザインのトレンド、手法や表現は変化しています。

課題の抽出方法についてもそれらの変化のように進化すべきではないか?と個人的に思ったことを理由に「ウェブ解析(アクセス解析)」のスキルを身につけたいと思いました。


上記のため、(当時の名称)「初級ウェブ解析士」取得に目指し勉強。

筆記試験に苦労し、どうにか合格。

初級ウェブ解析士合格後、特に上級ウェブ解析士を受けるつもりもなく過ごしていたのです。


そんなある日、会社の先輩に「初級ウェブ解析士合格しましたんですよ」と世間話程度に共有をしたところ・・・・

『じゃあ、次は上級だね。資格は、最後の級まで取得しないと意味がないから』とサラリと課題を授かり、その言葉に感化され上級ウェブ解析士取得を目指すことにしました。


※1 ヒューリスティック評価

ユーザーインターフェースにおける、ユーザビリティの問題点を指摘するために用いられる手法のひとつです。 一般に、ヒューリスティック評価をおこなうために必要な技術を身に付けた数人のスペシャリストが、ガイドラインに基づき、それぞれ個別に評価作業を進めていきます。(参照元:ミツエーリンクス用語集



どんな人が受験しているのか?

「ウェブ解析士」「上級ウェブ解析士」と聞くと私は敷居が高く、普段の業務からGoogle Analytics(GA)やAdobe Experience Manager(AEM)に触れて、解析をしている人が学んでいるイメージがありました。


年齢層

いざ受験講座を受講してみると、参加されている方たちの平均年齢層は、それほど高くなく20~30代といったところです。

実際に私も(初級)ウェブ解析士は、新卒で入社して3年目で受験をしました。まわりにも同年代の方が多くいらっしゃいました。


業種

私のようにWEBの制作会社のディレクターをやっている人もいれば、広告代理店のディレクターECの運用担当者、またはこれから全社的にWEBの分野を取り組んでいこうとチャレンジする企業にお努めの方などが受講されていました。



ウェブ解析士と上級ウェブ解析士の違いは?

取得までのフロー

※大前提として、上級ウェブ解析士の受験は、「(初級)ウェブ解析士」合格が必須条件となります。


ウェブ解析士・上級ウェブ解析士取得までのフローは、以下の通りです。

ウェブ解析士の非常にシンプルなフローにくらべて、上級ウェブ解析士は取得までの道のりが長く、提出物が多いことがおわかり頂けるでしょう。


(初級)ウェブ解析士

  1. 資格試験(指定会場にてWEB上での問題解読テスト)
  2. 修了レポートの提出

ウェブ解析士取得までのフロー



上級ウェブ解析士

  1. 事前課題(提出物2つ)
  2. 講座(1日目/2日間)
  3. 中間課題(提出物3つ)
  4. 講座(2日目/2日間)
  5. 資格試験(WEB上での問題解読テスト)
  6. 修了レポートの提出 or 上級レポーティング講座の受講

上級ウェブ解析士取得までのフロー



資格試験の難易度

あなたの会社や部署、まわりにも「ウェブ解析士」を受験した方がいるのであれば、その方たちに「どうだった?」とぜひ感想を伺ってみて下さい。

だいたいの方はこう返答されるのではないでしょうか?


「提出物のレポートは大変だったけど、資格試験は簡単だった。」

『なんだ、簡単だったのか・・・』


ちょっと待った!まわりの意見を鵜呑みにして試験勉強を怠ると私みたいに苦い思いをしますよ!笑

ここでは、小学校から数学が苦手が取得するまでの資格問題に関する苦労話をお伝えします。


(初級)ウェブ解析士

回答時間80分に対して、問題数がとても多いです。

体感、1分30秒あたり1問を回答しないと間に合わないくらいでした。

出題範囲は、200Pほどある分厚いテキストからまんべんなく出題されます。

その中には、もちろん計算問題がガッツリ掲載されております。もちろん、試験問題にも出題されています。

私がどうやって乗り越えたかというと・・・

資格試験当日、テキスト持ち込みが可能なのでよく出る計算式(呪文)を表紙の裏に書いて試験に挑みました。


上級ウェブ解析士

(初級)ウェブ解析士と比較して問題数は、それほど多くありません。

しかし、計算問題の難易度は高く、複雑です。

ですので(初級)ウェブ解析士で私が実施したように呪文(よくでる計算式をまとめたもの)に頼り試験に挑んだところで求められている内容を回答するために必要な数字の理解ができないと合格は難しいです。

どうやって私が乗り越えたかというと・・・とにかく講座で実施した計算問題の求められている数字の意味を理解しようと何度も何度も解きました。

繰り返していくうちに基礎的な計算式(セッション数=CV数÷CVRなど)が頭に入ったら出題問題の全体を見渡す余裕が出てきました。

すると単純な計算からCV数などを求められることなどがわかるようになり、自分がいかに数字苦手意識からむやみに計算式を頭に叩き込もうとしていただけなんだということがわかりました。

大事なのは、講座でやった計算問題をノーヒントで自分で考え、導き出そう手探りでいいので答えを導く力だと思いました。

その過程で計算式どこに注目したら求めたい値を求めることができるのかがわかるようになってくると思います。


修了レポート

(初級)ウェブ解析士も上級ウェブ解析士も修了レポートとして、対象サイトの解析レポートの提出が必須となります。


(初級)ウェブ解析士

ウェブ解析士協会が定義したフォーマットに沿って約3Pのレポートを制作。


上級ウェブ解析士

特にフォーマットがなく、事前に共有される採点基準、指標・定義に沿って約20Pのレポートを制作。

上級ウェブ解析士は、Google Analyticsレポーティング講座の受講で修了レポート免除されます。

業務が忙しい方は、受講(43,200円)して免除を考慮することを推奨します。



ウェブ解析士の資格取得のメリットとは?

WEB制作会社のディレクターである私が(初級)ウェブ解析士・上級ウェブ解析士を取得して「すぐに実務に生かせたのか?」と問われると答えは、ノーです。

もちろん、職種や企業の業務内容によってスキルを生かせる環境なのか、そうでないのかで異なると思います。

さらには、この資格に限らずなのですが資格とは、あくまでスキルを身につけ業務貢献するまでの「きっかけに過ぎない」と私自身は思っています。

これまでにウェブ解析士協会以外が主催するGAやアクセス解析に関する講座の受講書籍実際に自分のブログにGAを導入して3年ほど勉強していますがバリバリ業務貢献しているとは言えません。

ただ、用語や基礎知識については、勉強し始めの当時と比較して身についた実感はあります。


メリット1.ウェブ解析士が解析を行うための全体像が把握できる

今回、上級ウェブ解析士で学んだことがWEBの制作工程のどの部分に影響があるのか?活かせるのか?について下記の図式で表現しましょう。


条件

  • アクセス解析ツールを導入し、サイト内にCVが存在することを想定
  • 月次レポートを制作、その後レポートをもとに改善施策を考案し、優先度が高く実施することを想定


上級ウェブ解析士を取得するまでのわたし

規模問わず、「ウェブ解析士」の知見は、下記のフローでいうと太字の箇所で接点があったでしょう。

  • 要件定義
  • 制作
  • 公開
  • 解析
  • 改善施策の考案・実施
  • 解析(効果検証)

上級ウェブ解析士を取得するまでのわたしが「ウェブ解析士」の知見を活かす接点


ただ今までは、ユーザーサマリーから「直帰率が高い」「離脱率が高い」のような表面上の気づきを得て改善施策を考案したり、人気のコンテンツを把握する程度でした。

改善施策を考案し、実施してみるものの「はて、これはどこまでやったらええのかな?」のように問題点や課題だけ膨大に見つかり、果てしない費用と期間を要して終わりのないサイト改善の日々を迎えるだけ・・・


あくまで上記は、例なので実務でこのような状況に陥っているわけではないのですが、アクセス解析を主軸とした改善の全体像が見えないっていうのが正直な感想でした。


しかし、上級ウェブ解析士を取得して、私のなかの「ウェブ解析士」の知見を活かす接点は以下のように認識が変わりました。



上級ウェブ解析士取得後のわたし

上級ウェブ解析士を取得するにあたって新たに学んだ「ミッションの策定」「マーケティングゴールの策定」「ビジネスゴールの策定」(下記の図で赤くハイライトした3つの工程)が大きく影響しています。

上級ウェブ解析士を取得したわたしが「ウェブ解析士」の知見を活かす接点


ウェブ解析士協会の定義では、下記3つの定義は以下の通りです。

※3つの工程は、種別違いのゴールです。


ミッションの策定

企業が目指すべき姿、目標


マーケティングゴール

消費者・ユーザーにとってどんな存在、立ち位置になりたいか


ビジネスゴール

ミッションとマーケティングゴールを果たすべき、具体的な売上・数値目標


要するに上級ウェブ解析士では、「ゴール達成・実現のためにWEBを活用して、解析・改善を行うべき」ということを学びました。


今までも似たような意味合いで「KPI」「KGI」という言葉は出来てきましたが、更にその上流工程では、上記3つのような目標を考える必要があるとのことです。


この3つの目標を立てるのと立てないのでは、CVや解析結果に大きな差異がでるのでしょうか?

これは、私の個人的な推測になりますが、おそらく大きな差異はでないでしょう。

しかし、クライント先で「上級ウェブ解析士」と名乗り、立ち振る舞う以上、クライントと合意形成する際に必要なことであると解釈しています。


メリット2.若者よ、武器を増やせ!アクセス解析はユーザーの声を代弁できるのだ!

私が新卒で入社して4年間ディレクターをやっていくなかで、先輩やクライアントへ自分の設計思想や意見を述べる際に知識や経験の少なさから限界を感じることが多々ありました。

言うならば、説得力がない・発言力が弱いといったところでしょうか。


アクセス解析は、ユーザーの行動や意志が数字となり表現される事実情報の一つであると言えます。

アクセス解析がわかれば、この事実情報を指標として参考にし、客観的な視点からの説得材料として取り込むことができるのです。


制作の人間もクライアントも誰のために?何のために改善するのか?というと「ユーザー」のためです。

数字として表れているユーザーの行動・意志を我々が代弁することこそが自身の武器となり、スキルとして強みになると思っています。


メリット3.名刺に記載できる

「(初級)ウェブ解析士」「上級ウェブ解析士」は取得後、自身の名刺に記載し、名乗ることができます。

「(初級)ウェブ解析士」でも名刺への記載は可能ですが、だいたいの方は「上級ウェブ解析士」取得後に記載するようです。

その方が箔がつくからだと思います。

自身のスキルの証明に手段は問われませんが、名刺交換でスキルを表現できるのが資格取得のいいところですよね。




最後に

本日、ご紹介した内容以外に初級では学ぶことのできなかった、数値で見るべきポイント傾向も教わりました。

やはり、このような数値からの気づきなどは、経験者の知見からでないと学ぶことができなかったりするので話を聞いているだけで面白かったです。


さて、私が「上級ウェブ解析士の受験を人に勧めるか?」と人に聞かれたら・・・『ケース・バイ・ケース』と言えるでしょう。

「とにかく、アクセス解析について貪欲に学びたい!」「ウェブ解析士になりたい!」「解析レポートを作れるようになりたいのできっかけが欲しい」このようにアクセス解析に興味があり熱意のある方には推奨します。

きっと楽しいでしょう。

しかし、「WEB制作会社のディレクターが業務貢献のためにアクセス解析のスキルを取得したい」というのであれば、まずはGAIQの取得を推奨します。

理由としては、上記でご説明したアクセス解析視点でクライアントのビジネスにがっつり踏み込む回数が毎度毎度あるのか?というとおそらくそんなに回数はないでしょう。

上級ウェブ解析士の費用も高く、取得に至るまで提出が必要な課題へ投手する時間を要するのがネックであります。


資格取得に向け、約2ヶ月間土日も会社へ出社し、集中して取り組んだことが合格に繋がったのだと思います。

また、資格勉強に付き合ってくれた会社の後輩にも感謝しています。

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